暑中ご挨拶
暑中お見舞い申し上げます。
今年もまた、観測史上初めてというフレーズを何度も耳にする天候が続いて
います。私達もいつの間にかこの異常気象に慣れてしまって、少々のことでは
驚かない感覚になっているように思います。
特に今年は、九州地区のほうが沖縄より早く梅雨が始まり、6月に梅雨明け
するという、前代未聞な事が起こっています。しかしながら、マスコミも含め
このことを大きな問題として捉えない事に危機感を感じます。
常識ではありえないようなことが起こっていることに慣れてしまっている
気がします。
何か地球規模で大きな異変が起こる予兆ではないかと不安を感じる昨今です。
そんな混沌とした気候変動やとんでもない世界情勢の中で、我々の業界も
未来の姿がどのようにあるべきかをしっかりと創造し、ビジョンを持ち、共有
することが必要です。
大騒ぎの米騒動と同じで、目先にとりあえず安価なお米を放出するのは手段
としては悪くないとは思いますが、問題はそれ以前に日本のコメ作りはどうあ
るべきか、今後の適正価格はいくらなのか、外米とどう向き合うのか、などな
ど少し時間がかかっても未来に向けての現実的なビジョンがまずはありきなの
だと思います。
ここ数十年日本国は未来のあるべき姿より、目の前にある損得の議論と自己
保身に終始してきたきらいがあります。結果、いままで傷口に絆創膏を張って
凌いできたものが、いよいよ剥がれ始めているような気がします。
特に少子化問題については危機的な状況であると認識します。
いつになっても、給付金で済まそうとする考え方は、もはや少子化対策に
何の効果もないのは明らかです。昨年は、とうとう出生数が「70万人」を
切りました。
これが何を意味するのか、どれほど恐ろしいことなのかを、マスコミも含め
真剣に向き合っている感じがありません。過去、団塊の世代と言われる昭和
22年は、「約270万人」の子供が生まれ、その後、23年24年の3年間で
「約800万人」の子供が生まれています。そして、その世代の方たちが今の
日本経済の礎を創ったのは間違いのない事実であり歴史です。
人口減少はもう未来の話ではありません。
今現在着々と進んでいる現実です。
言い方は悪いですが、日本は絶滅危惧国といえるでしょう。
私たちは、そのような状況の中で未来に向けて、子供たちのためにも明るい
未来を創っていかねばなりません。エネルギーの出ないこの国で未来を創って
ゆくためにしなければならないことは「労働」いわゆる働くことです。
この時代、働くことが悪のように言われ、休むことが幸せの代償のように
叫ばれていますが、教育と労働なしにこの国の未来はないと考えています。
昭和のように、猛烈に休みなく働こうといっているのではありません。
合理化や効率、生産性を考えるのは当然であるのと同時に、働くことが楽しい
と思えるような環境を整え、労働の重要性を認識していくべきだと思います。
働くという事は考えることであり、想像することです。考え、想像するには
時間がかかります。合理的、効率的ばかりで縛り付けるのではなく、自由にお
おらかに考え、生み出し、唯一無二なアイデアを世界に発信できる環境を創り
たいものです。
ステンレス業界も、まだまだ改善の余地がありますし、それが結果的に
ステンレスの拡販に寄与できれば素晴らしいと思います。
目先だけで物事を考えるのではなく、俯瞰的立場からコミニケション豊かな
業界に変化してゆくことを願っています。
我々の悩みや未来の問題は、業界として大差ないと考えられます。だから
こそ仲間同士、本気でスクラムを組んでいかねばならない時代になったと感じ
ています。周りが羨むような業界になりたいものです。
今後とも、ステンレス関連業界の皆様におかれましては、倍旧のご協力を
賜りますようよろしくお願い申し上げますと共に、各地区流通協会会員各社
様の益々のご繁栄を祈念致しまして暑中ご挨拶とさせていただきます。
全国ステンレス流通協会連合会
会長 青山 雅雄